必修講義『経営戦略』が終わりました

国内MBA

沼上幹先生が担当される『経営戦略』の講義が終わってしまいました。最初から最後まで最高に楽しくて、毎回講義を聞くのが楽しみで仕方ありませんでした。

最後のテストを終えた今、ある程度講義にコミットすることができ、何かを得た手応えが充実感として手元にある一方で、これから沼上先生の講義を聞けないと思うと一抹の寂しさがあります。

私がMBAを意識したのは沼上先生がきっかけでした。沼上先生の著書『一橋MBA戦略ケースブック(東洋経済新報社)』を読み、「なんなんだこの面白い本は!経営戦略ってこんなに面白いのか!」と感嘆したのが始まりです。もともと戦略に興味はあったのですが、アカデミックな本でこれほど面白い戦略本には出合ったことがなく、そのような講義が展開されているMBAという世界への興味が一気に増大しました。

それから国内MBAへの受験を決意しました。第一志望は当然沼上先生の在籍する一橋大学大学院で、なんとか入学することができました。

第一回目の経営戦略の講義はよく覚えています。ずっと熱望していた沼上先生をリアルで見たときの気持ちは忘れません。

実際の講義は期待に違わぬ面白さでした。相当な高い期待値で受けているので、それでも満足するというのは講義の質がそれほど高いという事です。著書『わかりやすいマーケティング戦略(有閑社アルマ)』をベースに、というかすべて読破していることを前提として、圧倒的な情報量のスライドを基に講義は進んで行きます。ユーモア、毒舌、実在企業への叱咤激励など学生の笑いも度々起きていました。一橋MBAの学生もやはり沼上先生の講義は特別だと感じている人が多いようで、講義への貢献意欲はかなり高いものがありました。先生からの問いに対して、学生から生ぬるい意見が飛ぶと、それを先生がバッサリと斬る光景は見慣れたものとなりました。大体、思い付きで発した意見はコテンパンにされていました。論理的な背景、裏付けのあるものは、丁寧なフィードバックを受けていました。

「経営戦略」の講義では、1回の個人レポートと3回のグループワークがありました。すべてのレポートに対して、丁寧なフィードバックが添えられて、全学生に公開されます。恐らく相当な労力だと思われますが、沼上先生は「これからの日本のためにやっている」とおっしゃっていました。経営を知らない経営者が多すぎると嘆いておられました。先生の意志を受け取った我々は、しっかりと日本社会に還元しなければならないと感じています。多くの学生は厳しいコメントを恐れていましたが、私は沼上先生からもらえるコメントはポジティブでもネガティブでも嬉しかったです。自分たちの考え方を先生に診てもらえるという事だけでもかなり光栄なことだと感じていました。

嬉しいことに、グループワーク3回のうち2回優秀レポートに選出され、学生の前でプレゼンをする機会に恵まれました。プレゼン自体はよくできたとは言い難いですが、優秀レポートに選んでいただいたことと発表の経験は良い思い出になりました。

沼上先生の講義で得られたものは、『フレームワークを使えるようになった』ということです。完璧に使いこなせるようになったとは言えませんが、フレームワークを使う意味を理解したことが大きいと思います。ただ事実をフレームワークに当てはめて、図を完成させただけでは何も意味がないことは明白ですが、何のためにフレームを使うのか、そしてそこから何を見出すのか。フレームワークはインサイト、背後のメカニズム、業界のダイナミズムを理解するためのツールであり、フレームワークを使うこと自体に意味があるわけではないです。

インサイトや背後のメカニズムを得るのは訓練とセンスが必要でありなかなか難しいですが、これは講義が終わってもトレーニングを積んで、精度を高めたいと考えています。

最後の1つ前の講義の終わりに、沼上先生に著書へサインを求められたら「全員に書かなきゃいけなくなる」と言って断られました。想定内でしたが、それもまた沼上先生っぽいです。サインをもらっても、断られてもどちらでも思い出になるなと思っていたので、お願いしてみてよかったです。

最後の講義の去り際、沼上先生はこうおっしゃっていました。「AACSBを取得しているMBAというのは、国際的に見たら全然違うからね」(一橋MBAは2021年にAACSBを取得)。つまり、国際認証を取得しているMBAの学生、または卒業生として恥ずかしくないような成果を上げろ、というメッセージだと理解しています。

修了後、沼上先生の耳に届くような仕事をしていきたいと思います。

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